さいたま市 寿司 出前 へしこ

日乃出鮨雑記帳


へしこ

サバのへしこを店で出すようになって、意外や意外、おいしく召し上がるお客さんが多いので、備忘録も兼ねてちょっとへしこを調べてみたところを記しておきましょう。


へしことは?

魚介類のぬか漬け。塩をたっぷりすり込み、一年ほど重石をかけて漬けます。


何故、へしこと言うのか?

これはパス。


へしこはどの地域で作られる?

若狭が有名なようですが、北陸から山陰にかけて広く作られている模様。


へしこになる魚は?

へしこと言えばサバとイワシが有名ですが、他にもいろんな魚が使われるようです。サバを筆頭に、次いでイワシ、この二つが突出していて、後は大きく差をつけられて以下、イカやニシン、アジ、ふぐ、サンマ、ハタハタ、ブリ、コウナゴ、シイラ、サワラ、カワハギなども漬けられているようですね。元来が北陸地方のような冬期厳寒地方での保存食として供されてきた訳なので、実際のところはもっと多くの種類の魚がへしことなっていることでしょう。大量に塩を打ち、糠に一年も漬け込むんですから、微妙な魚の味を味わうというよりは、大根や菜っ葉の漬け物に似て、その地域地域で大量に魚が獲れ、オーバーフローした魚を分別せずにバンバン漬け込んで、年中食べられる常備食として確保しておいたんでしょうから、ある程度脂がのっていれば大概の魚はいけそうな感じです。


へしこの食べ方は?

普通はへしこを焼いて、焼き魚感覚で食べます。お茶漬けでもよく食べられます。焼かずに生のまま食べる時は、そのまま刺身にしたり(刺身という言葉は適切ではないかも。要するに、包丁で切ってそのまま食べるということ)、寿司のネタにしたり、酢の物に使ったり, パスタの具にします。糠を全部落とさずに食べることが奨励されてますが、塩分の問題もあり、焼きに当たって全部落として食べても遜色なく旨い。辛口の日本酒との相性はいい。日本酒に合わせるなら、生の方が良いのでは。焼くと塩分が表面に出てきて結晶化し、塩辛さが増すからです。


へしこは生臭い、生臭くない?

よく焼けば、ほとんどサバの塩焼きと変わらなくなるほどに味は馴化。焼かずに生で食べると、はっきり生臭い。が、同時にこれが旨味といえば旨味。


へしこの最大の特徴は?

臭いや味の生臭さではなく(生臭さならくさやや鮒寿司の方が上でしょう)、塩分の多さ、塩辛さがへしこの最大の特徴です。少なくとも関東圏において、味の割にはへしこを口にする機会が多くない事実の最大の理由が、これであることも間違いないでしょう。特に脂が乗っていないと、塩だけが強調されてしまい、「サバ味の塩」や「イワシ味の塩」を囓ると言っても良いくらいになります。脂がのっていないと苦みも出ますから、漬けるに当たっての魚の選別基準は、適度に脂がのっていることです。


以上、へしこの簡単な紹介まで。召し上がったことがなければ、一度トライしてみてください。